アンガーコントロール

感情コントロールが苦手な場合、人間関係に悪影響を及ぼすことが予測されます。

例えば、お友だちに一緒にブランコで遊ぼうと提案したけど、お友だちは別の遊びがしたくて断ったとします。自分の期待していた返事が得られなかった時に、つい怒ってしまいます。

この場合は、お友だちと喧嘩になってしまう可能性でなく、いきなり怒ってくるお友だちにどう接すればよりのかわからなくなり、以降その子と距離を置くようになる可能性も考えられます。

怒りのコントロールができない場合はこのように、人間関係において長期的にもよくない影響を及ぼしかねません。さらに、「人間関係で失敗した経験」がその後も積み重なった場合は、将来人間関係を築いていくうえでも自信が持てなくなることも考えられます。

しかし怒りの感情は、悪いものではありません。

怒りは「防衛感情」とも言われ、自分の身に危険が迫ったときに感じる自然な感情です。問題となるのは、怒りを表現する方法が不適切な場合です。「怒り」という感情に適切に対処できれば、人生をよりよくしていくことができるでしょう。

アンガーコントロールの必要性

アンガーコントロールを身につけることは、子どもにとってさまざまなメリットがあります。

感情の暴走により人間関係を壊すことがなくなり、自分が望む人間関係を築くことができるようになるでしょう。友だちなどの周囲の人間とよい関係を築いていく経験は、自己肯定感を高めることにつながります。また、アンガーマコントロールを通じて自分の感情を適切に伝えるスキルを学ぶことは、コミュニケーションの訓練でもあります。

ただし子どもがアンガーコントロールを学ぶ際は、子ども自身がその必要性を認識して取り組むことが大切です。自分の感情に気づいてコントロールすることは、自分にしかできないためです。したがって、子ども本人がアンガーマネジメントに主体的に取り組めるように、大人が関わっていくことが大切です。

例えば、「なぜ、アンガーコントロールを実践するのか」ということについて子どもと話し合い、「もう友だちと喧嘩したくない」などの動機が本人から出てくれば、初めのころはうまくいかなかったとしても、アンガーマネジメントの訓練を続けていくことができるでしょう。

自分の感情を認識する

怒りの感情をコントロールできるようになるためには、まず怒りについて知ることが大切です。怒りのコントロールが苦手な子どもは、怒りのレベルに関係なく、些細なことでも感情を爆発させてしまうことがあります。そこでアンガーマネジメントの技術の一つ「スケールテクニック」では、怒りの感情を段階に分けて可視化します。

子どもと一緒にスケールテクニックをおこなう際には、「気持ちの温度計」というツールがよく使われます。 「気持ちの温度計」を使い、「自分の気持ちの温度がどのような状況で、どこまであがってしまうのか」ということを確認し、自分の気持ちを捉えられるように練習していきます。また「怒りを感じたときに、気持ちを落ち着ける方法」を決めて、練習しておきます。

アンガーコントロールでは、以下のような方法があります。

〇対処法をつくる

6秒ルール

怒りはどんどん強くなるのではなく、6秒経つと落ち着きはじめるとされています。このため、怒りを感じたら、何らかの言動をする前にまず6秒間待つことを教えます。子どもと一緒に1から6まで数えて待つ練習をおこない、怒りを感じたときに実践するよう伝えます。

深呼吸

怒ったときに深呼吸をすると、気持ちを落ち着かせることに有効であることを伝えます。「6秒ルール」とあわせて、数を数えながら深呼吸をしてもよいでしょう。

その場を離れる

怒りを感じたときに、その状況から離れることで気持ちをリセットする方法です。相手にもタイムアウトをとることを伝え、静かな部屋などの気持ちが落ち着きやすい場所に行き、落ち着いたら戻るとよいことを伝えます。

伝える方法を身につける

怒りを暴力や強い言葉で表すのではなく、相手に上手に伝える方法を教えます。

自分の気持ちや要求を言葉で伝える練習をおこないました。

〇怒りが誘発されにくい環境をつくる

周囲の大人がおこなう対処として大切なのは、子どもの怒りが発生する状況や環境を把握し、怒りが起きにくい環境をつくることです。子どもが自分の感情をコントロールできるようになることは大切ですが、怒りが発生するような状況が繰り返し起きないように、大人が環境を調整するなどの工夫をおこなうという考え方も大切です。

吃音に対する特別な環境

吃音があるお子さんの多くは、頭の中に話したいことがいっぱいあるが、それをうまく言葉に表現できない状況になっていると考えられます。

また、吃音のあるお子さんの中には、新しい場所やヒトが苦手だったり、他の人からの評価を気にしたり、ちょっとしたことですぐにくじけてしまったりするような「繊細」なお子さんがいることが知られています。

そこで、吃音のお子さんと接する際は、これらの特性に合わせた「特別な環境」を作ることが効果的と考えています。

このような「特別な環境」には、以下のようなものが考えられます。

・お子さんとお話をする時に、話しかける大人の側が“ゆっくり”、“ゆったり”とした話し方で話したり、お子さんの話す速さと同じが、少しゆっくり目ぐらいの速さで話すこと。また、子どもが話し終わってから、一呼吸置いてから子どもに話しかけるようにすること。

・お子さんがお話をしている時は、“相づち”や“うなづき”などをしながら、出来るだけ最後までお話を聞くこと。お子さんがお話をし終えるまで、大人の側から、別の話題などを話さないようにすること。

・家事などで忙しい時は、「あとで、お話を聞くから待っててね」などと言い、あとで必ずお話を聞く時間を設けること。

・兄弟がいる場合、先を争うように話しかけるような状況がある場合は、「順番に話す」というルールを設け、発話の最中に話を割り込まれることがないようにする。

・お子さんに対して「ゆっくり」、「落ち着いて」などの声かけは極力控えるようにすること。

・毎日の生活にゆとりをもたせるために、早寝・早起きなどの規則正しい生活習慣の確立や、朝や夕方などの忙しくなりがちな時間帯の過ごし方に気をつけ、生活全般を“ゆったりと落ち着いたもの”にすること。

・短い時間で良いので、毎日の生活の中に、お子さんと一対一でじっくりとかかわる時間を設けること。

これら、”特別な環境”を整えることで、話したい事・伝えたい事をゆっくり話せ、話せた・伝わった経験を重ねることで、自信につなげていけると思います。

レジリエンス

最近よくテレビやインターネットなどで、「レジリエンス」という言葉を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか? 逆境への強さを表す心理学用語ですが、生きづらいと言われる時代だからこそ、この言葉が注目されるのでしょう。

レジリエンスを辞書で引くと、「困難や苦境からの回復力、復活力」などと載っています。心理学では、逆境に置かれたときに早く復活できる人を“レジリエントな人”、逆に傷つきやすく、なかなか立ち直れない人を、“ブルネラブルな人”と表現します。同じ状況下に置かれても、反応は人それぞれです。

では、レジリエンスを高める関わり方として、先ずは「失敗を責めるより、“自分で解決(リカバリー)できる”という自信を養えるよう接していきましょう。例えば、ジュースをこぼしたら、「何しているの!」と責めるより、「どうしたらいいかな?」と聞いてみましょう。自分で布巾を取りにいってきれいにするのがまだできないようならば、その子ができる範囲で、一緒にこぼれたジュースを片付けてあげる。問題が起こるたびに、その子を責めるよりも、解決策を共に考え、実践することで、「自分には問題を解決する力がある」というその子の自己効力感を培ってあげましょう。

次に、なるべく普段、その子が「できている時」をこまめに認め、伝えてあげましょう。例えば、お友達と喧嘩した時にのみ、「仲良く遊びなさい!」と介入するのではなく、普段、できている時に、「仲良く遊べて楽しいね!」「玩具貸してあげられて優しいね!」と喜んであげるようにします。子どもは、普段から、たっぷりと「できる自分」を認められることで、たとえ、物事が思うようにうまくいかない時でも、「自分にはできることもたくさんある!」と思い出せるようになります。

最後に必ず笑顔になれるという安心感を培ってあげましょう。私たち大人も人間ですから、子どもの前で怒ったり、悲しんだり、落ち込んだりすることもあります。そして、それは、とても自然なことだと思います。それでも、そうしたネガティブな感情も、ずっと続くのではなく、再び笑顔で元気になれるという姿をみせてあげましょう。例えば、寝る前や翌日の起床時には、笑顔で子どもを抱きしめ、「大好きよ」と伝えることを習慣にしてしまうのも方法です。すると、子どもは、「何があっても、またこの温もりに戻ってこられる」という安心感を培うことができると思います。

子どものレジリエンスを高める関り方を心がけ、これからの世界を幸せに生き抜く子どもを育んであげたいですね。

吃音

「吃音」という言葉を聞いたことがありますか。別名の「どもり」と言ったほうが知っている方も多いのではないかと思います。

「吃音」とは、「お、お、お、おはよう…」と言葉の部分を繰り返したり、「おーーはよう…」と言葉の音を引き伸ばしたり、「…っおはよう…」と言葉がつっかえて出てこなかったりといった話し方のことを言います。

「吃音」は2、3歳をピークに出始めることが多く、幼児期に症状が消失することが多いようですが、就学後も「吃音」の症状が続く子どももいます。

この「吃音」は、誤解されていることが多々あります。

その1つに、保護者の関わり方に問題があり、子どもが「吃音」になるのではないかという考えです。『これには全く根拠がなく、吃音の原因は未だ分かっていません。』

それでも、残念なことにこういった誤解をされている方は多く、周囲の人たちに相談をすると、このような指摘に合い、辛い思いをされている方も多いのではないかと思います。

「吃音」があっても話しやすくなる方法について話をしてみたいと思います。

子ども自身「吃音」があると、委縮して話をしようといなくなる傾向にあります。先ほど、「吃音」の原因は保護者の関わりによるものではないとお伝えしましたが、「吃音」による問題を大きくしないためには保護者の関わり方が大切になってきます。

そこで、ご家庭で話をする時に、話し方(吃音)を気にするのではなく、子どもの話の内容に耳を傾けてみましょう。この時、ただ聞くのではなくうなずきや相槌、目を合わせる、正面を向くといった姿勢も大切です。子どもがきちんと話を聞いてもらえていると感じられると、たくさんお話をしたいという気持ちになり、話をする機会も増えていきます。

次に、ゆっくり語りかけて下さい。大人がゆっくり語りかけることで、子どもはリラックスしてお話することが出来ます。

「吃音」があると、どうしても話し方が気になってしまいますよね。でも、そのことで、普段の親子間のコミュニケーションを振り返る良い機会になると思ってみてください。きっと「吃音」が親子間のコミュニケーションをより良いものへと導いてくれます。

切替え

楽しい事はいつまでもしたい。これは子どもに限らず大人も同じではないでしょうか。切替えをスムーズに行うためにはスモールステップで行っていく必要があると思います。

先ず初めにあらかじめ量を決めることです。

“無くなった=終わり“がイメージでき理解できるように促していきます。

途中でやめることは子どもにとってはとてもしんどい事だと理解してください。あらかじめ大人が“適量”を決めて、終わったら次の活動へ切り替えるよう促していき、できたらしっかり褒めてあげましょう。

次に、始めと終わりについて共有しておく必要があります。大人は曖昧な表現でもある程度イメージを共有し合えることが多いですが、子どもに対しても同じようには事は運びません。例えば「この前と同じ場所で待ち合わせ」と約束しても”この前…“、”同じ場所…“等曖昧な表現よりも「○○で待ち合わせね」と的確な表現を行うことが重要です。

子どもに対して「これがなくなったら終わりだよ」と、あらかじめ子どもにも共通イメージが持てれるように伝え、終わりの見通しを共有しましょう。「~したら・・・をする」という見通しを他者と共有できるようになると、「次は何?」と子どもの方から、尋ねてくるようになるでしょう。ただし、この「見通し」・・・目に見えない不確定の未来です。

私たちが雰囲気で何となく理解していることがわかりにくいという子どもの場合、先の予定や段取りなどの見通しを、目に見える形で共有するステップが必要なことがあります。

きっずぱれっとでの活動の中から、「見通し」を目に見える形(視覚支援ツール)で伝える方法の一例をご紹介します。

「始め」と「終わり」の意識が持てるように、サーキットの活動では、目印に足形シートを置きます。そして「~したら、次は・・・する」という意識が持てるように、活動のイメージカード(イラスト等)を時間の流れに沿って活動を順番に並べて提示しています。時間の感覚が苦手な子どもに対しては、タイムタイマー等も用いています。

次に終わりのサイン(合図)を決めておきます。

日常生活でも、合図で行動を切り替えることがよくありますね。 

いつも誰かがそばについていて、声をかけてあげられるわけではありません。大人の声かけですんなり切り替えできる場面が増えてきたら、「合図が聞こえた=今していることを終えて次のことをする」という理解ができるように繰り返し伝えていきましょう。

きっずぱれっとの活動の中でも、「合図がなったら終わり」の伝え方の一例をご紹介します。

 自由遊び等遊びに夢中になると時間を忘れてしまいます。タイムタイマーを設定してもなかなか見る余裕すらなくなるぐらい夢中に遊んでしまうので、時間が来たら“ピピピ”と終わりの合図でタイマーが鳴ります。

そして、この「合図」・・・目に見えない暗黙のルールです。

“目に見えないルールががわかりにくい”という特徴がある子どもの場合、合図について、言葉に含まれた意味(どの音が合図なのか?合図とは何か?など)を具体的に確認し合うことで、切替えがスムーズに行なうことができるようになります。

ワーキングメモリー

 物事を短い時間記憶しておくための1つの流れは、覚えてる対象に注意を向け、頭の中で注意を向け続けたり、反復したりすることです。

 多くの人は自然と行っていることですが、衝動性が強いと対象に注意を向けたり、覚えたことに注意を向け続けることが難しい子どももいます。他の事に注意が逸れたりするとすぐに忘れてしまいます。そうすると、何か作業を行うことが難しかったり、ルールのある遊びや人とのやりとりも難しいことがあります。忘れ物をしたり、物をすぐなくしたり、場所が分からなくなってしまうこともあるでしょう。それらを防ぐためには、ワーキングメモリーと言われる物事を短い時間記憶する力を伸ばす必要があります。

 注意を向けたり持続する力を養うことと同様に、記憶しておかないと正答できない課題をスモールステップで行います。

 きっずぱれっとの個別療育で実施している課題としては、絵カードを用いて、複数枚の絵カードを提示し、「○○を取ってください」と指示を出して選択させます。徐々に難易度を上げ、「○○と○○と○○を取ってください」などと2、3枚の指示を出したりします。このように記憶しないといけない量を増やし、離れた場所の絵カードを選択して取ってきたりすることも良い練習になります。

 また集団活動では、神経衰弱(テディメモリー)や伝言ゲームなどの難易度を下げてスモールステップで行います。これらの活動を通じてしっかり褒めて、楽しみながら短期記憶を伸ばしていくことができます。

勝ちへのこだわり

 負けず嫌いって、その子の持って生まれた気質であったりするもので、その子自身の性格ぐらいに割り切ることが大切です。また成長する中でその気質はとても重要な要素にもなりえるものだと思います。

 では、勝ちにこだわる子の問題点は、負けたそうになった時には途中で投げ出したり、また、負けた時にはこの世の終わりのような絶望感を感じていたり、負けを認めなかったりと…。

 「勝ちたい」という気持ち=「頑張りたい」という向上心

 勝ちにこだわる子だからこそ「負けたとき」にどう対応するかがポイントになってくるようです。しっかり気持ちを受け止めつつ、どんな時でもその“頑張り”を褒めてあげましょう。

 勝った時にはもちろん、負けた時もその過程をしっかり褒める。褒める事によって、勝っても負けても次に頑張れるエネルギーへと変わります。

衝動性

 ゲームなど楽しいことをしていると,ついついテンションが上がりすぎてしまうことがあります。急に走り出したり,大声を出したり,時には叩いたり泣いたり,そうなるとせっかくの楽しいゲーム台無しです。一緒に遊んでいる周りの子も楽しく遊ぶことができません。

 これらは、衝動性の高さや気持ちのコントロールする力の弱さが関係しており、楽しく遊んでいるうちは良いのですが,ルール内でテンションを上げ過ぎないようにセーブして楽しく遊ぶ力を付けていかないといけません。

 そのためには,スモールステップでテンションを上げ過ぎずに遊ぶ経験をたくさん積む必要があります。何かルールがある遊びを行い,テンションが上がりそうになると「ちょっと落ち着いて」と少し落ち着かせたり、テンションが上がり切ってしまった時は遊びを中断してクールダウンさせて落ち着いたら再開したりします。できるだけ途中で崩れてしまって遊びが終了しないように,最後まで遊ぶことが目標で、「みんなと一緒に遊んで楽しかった」という経験を重ねていきます。最初は簡単で短い遊びから始めて成功体験を積み,徐々に落ち着いて遊ぶことができる時間を伸ばしていきます。

 きっずぱれっとではルールのある遊びを少しずつ行い,最後までうまく遊ぶ経験を積んでいきます。集団遊びや活動なども同様で,テンションが上がり過ぎそうなときは少し声掛けをして落ち着かせ,上がり切ってしまったら少し輪から離してクールダウン。大切なことはテンションを上げ過ぎずに遊べば自分も周りも楽しく遊べるということを経験することです。

 少しテンションが上がりそうなときに落ち着ける方法として、深呼吸や10数える等を身に着けておくことも1つです。

 テンションが上がり切らないように支援し,上がり切ってしまえば一度落ち着かせ,ルールの範囲内で最後まで楽しく遊ぶという経験をたくさん積んでいき、できた時はしっかり褒め、一緒に喜びましょう。徐々に皆に合わせてルール通りに遊ぶことができる時間を伸ばしていきましょう。

パズルの5つ効果

 パズルは「脳を活性化させるため、子どもの成長にはとても有効的な遊び」と言われ、指先が器用さ、観察力、想像力、集中力、記憶力等に効果があります。

 ピースをはめたり、はずしたりなど、手や指を動かすことで、しだいに細かな作業を行えるよう、指先の器用さを養います。

 出来上がりの絵をしっかりと見て特徴をつかまないとパズルの完成はできません。また、組み立てているときも、「この柄はここにあった」や「こっちはこうだった」などしっかりと観察して見極めていく力が必要になってきます。その為パズル遊びをしていると観察力が徐々についていきます。

 パズルの絵柄などイメージして組み立てていき、完成させるためにはそのイメージを保ったまま組み立てていく必要があります。イメージをしながら組み立てていくときに想像力が問われることになり、遊んでいる中で力がついていきます。

 パズルは「完成させたい」という思いから、じっくりと遊ぶ経験をすることになります。夢中で遊ぶという経験をたくさん積むことによって、それが「集中している」という経験になり結果として集中力の向上につながっていきます。

 観察力、想像力ともつながってくるのですが、「最初に見た絵柄を覚える力」や「その絵を思いだす力」などはすべて記憶力とつながっています。

 このようにパズルには5つの効果がありますが、スモールステップで簡単なパズルから始めることにより、自己肯定感を高めながら行うことがさらなる効果に繋がります。

バランスセンサー

 子どもの立っている姿勢やバランスが悪くて、”フラフラして見える”といったことはありませんか?

 ここで問題です。「立っている時に、バランスをとっているのはどこだと思いますか?」

頭?  体幹?  骨?     ・・・答えは、『足の裏』です。

 足の裏には感覚受容器がたくさんあり、それがどの位置に体重がかかっているのか?真っすぐなのか?傾いているのか?という状態で常にバランスセンサーの役割を果たしています。

 しかし最近の子どもたちは、このセンサーがうまく働いていないことが多いようです。それは、なぜでしょうか?

 その原因の一つに、遊び方があります。昔に比べて外で遊ぶ時間が少なくなったり、裸足になることが減ったり、公園などの環境変化や靴の性能が良くなったことで、足裏への刺激や脚を使うという事が減った事が影響されているようです。

 本来加齢とともに受容体は減っていくのですが、子どもの内から少ない状態の子が増えているのです。では、このセンサーを働かせるようにするためにできることは、どんなことでしょう?それは、足の指を動かしたり、わざとバランスの悪い状況で動くことです。なぜ、バランスを悪くして動くことが良いのかというと、足裏の感覚受容器は脳とつながっており、良いバランスを身につける為にたくさんの失敗経験が必要になります。失敗経験を脳に記憶させることで、正しいバランスが養われていくのです。

 あえて足元に不安定な物を置いたり、障害物の中で動いたり、片脚立ちの状態で身体を動かす等、バランスの悪い状況の中でたくさん動き、失敗経験を多く脳に送っていきましょう。